労災保険だけでは不十分?安全配慮義務違反で会社に損害賠償請求をする方法

労災事故に遭われ、心身ともに大変つらい思いをされていることと思います。

「労災保険の給付を受けているけど、これだけで十分なの?」

「事故で受けた心の傷への補償はどこに請求すればいいの?」

もしあなたがそう感じているなら、それは正しい感覚かもしれません。

実は、**労災保険だけでは、あなたが被ったすべての損害をカバーできない**ケースがほとんどだからです。

この記事では、**労災保険の限界**と、会社に**安全配慮義務違反**があった場合に、**損害賠償請求**をする方法について、弁護士がわかりやすく解説します。

この記事を読めば、あなたが**「労災保険だけでは足りない」**と感じたときに、次に何をすべきか、具体的な行動が明確になります。

労災保険の補償範囲と限界:なぜ「不十分」なのか?

労災事故に遭った時、まず頼りになるのが労災保険です。

これは、ケガの治療費や、仕事を休んだ間の生活費をサポートしてくれる、国が運営する大切な制度です。

しかし、労災保険は、あくまで最低限の補償にすぎません。

労災保険でカバーされる主な給付は以下の通りです。

  • **療養(補償)給付**: 治療費、薬代、入院費など。
  • **休業(補償)給付**: 仕事を休んだ間の賃金(約8割)を補償。
  • **障害(補償)給付**: 後遺症が残った場合のお金。後遺障害の認定について詳細を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
  • **遺族(補償)給付**: 亡くなってしまった場合の遺族へのお金。

しかし、**労災保険は、あくまで最低限の補償**にすぎません。

交通事故で例えるなら、**自賠責保険**のようなものです。

国が運営する強制加入の保険で、誰もが最低限の補償を受けられるようにする制度です。

では、何が足りないのでしょうか?

それは、事故で受けた心の傷や身体の苦痛に対する**「慰謝料」**や、後遺症のために将来減ってしまうはずだった収入**「逸失利益」**です。

これらは、**労災保険からは一切支払われない**のです。

その他にも、労災保険ではカバーされない損害として、以下のようなものが挙げられます。

  • **弁護士費用**: 損害賠償請求のために弁護士に依頼する費用。
  • **物損**: 事故で壊れた私物(衣服、メガネなど)の修理費や買い替え費用。
  • **休業損害の差額**: 労災保険の給付だけでは補いきれない部分(**差額として残り4割の請求**)。
  • **入院雑費**: 入院中の日用品費など。
  • **付添費用**: 入院中の付添が必要な場合の費用。
  • **交通費**: 病院への通院や、弁護士との打ち合わせにかかる交通費。

これらの**「労災保険でカバーされない損害」**について会社に責任を追及するために、**安全配慮義務違反**という法律上の考え方があります。

安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の基礎

会社に**安全配慮義務違反**があった場合、あなたは会社に対して直接、損害賠償を請求することができます。

この関係は、交通事故でいう**任意保険**のようなものです。

加害者の責任を問うことで、自賠責保険だけではカバーしきれない部分(慰謝料など)を補償してもらうものです。

では、どのような場合に会社の**安全配慮義務違反**が認められるのでしょうか?

これには、以下の3つのポイントが重要になります。

  • **予見可能性**: 会社は事故や健康被害の危険を事前に予測できたか?
  • **結果回避可能性**: 予測できた危険に対して、会社はそれを回避するための適切な対策を講じることができたか?
  • **因果関係**: 会社の対策不足が、あなたの怪我や病気に直接つながったか?

これらの詳細については、【弁護士が解説】安全配慮義務とは?企業に求められる責任と労災保険との関係をわかりやすく解説の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

また、**労災保険**が**「保険制度」**であるのに対し、**安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求**は、会社の**「責任」**を追及するものです。

この法的根拠の違いを理解することが、適切な補償を得るための第一歩となります。

損害賠償請求の具体的な項目と算定方法

**安全配慮義務違反**が認められた場合、会社に請求できる損害賠償の項目は多岐にわたります。

主な項目と算定方法の概要を解説します。

1. 慰謝料

慰謝料は、労災事故による精神的・肉体的な苦痛に対する賠償金です。

**労災保険からは一切支給されない**ため、会社に直接請求する必要があります。

  • **入通院慰謝料**: 事故による入通院期間に応じて算定されます。
  • **後遺障害慰謝料**: 後遺障害が残った場合に、その等級に応じて算定されます。
  • **死亡慰謝料**: 死亡事故の場合に、遺族の精神的苦痛に対して算定されます。

慰謝料の算定には、裁判所が用いる基準(裁判所基準)があり、専門的な知識が必要です。慰謝料の算定方法について詳細を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

2. 逸失利益

逸失利益は、労災事故による後遺障害のために、将来得られるはずだった収入が減ってしまったことに対する補償です。

算定には、以下の要素が用いられます。

  • **基礎収入**: 事故前の収入を基に計算されます。
  • **労働能力喪失率**: 後遺障害の等級に応じて、労働能力がどの程度失われたかを示す割合です。
  • **ライプニッツ係数**: 将来の収入を前倒しで受け取るための中間利息を控除するための係数です。

逸失利益の計算は非常に複雑であり、専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。

3. その他の損害

上記以外にも、以下のような損害を請求できる場合があります。

  • **休業損害の差額**: 労災保険の給付だけでは補いきれない部分(**差額として残り4割の請求**)。
  • **入院雑費**: 入院中の日用品費など。
  • **付添費用**: 入院中の付添が必要な場合の費用。
  • **交通費**: 病院への通院や、弁護士との打ち合わせにかかる交通費。

これらの損害は、個々のケースによって異なります。

正確な損害額を算定するためには、専門的な知識と経験が必要です。

また、近年、労災の上乗せ保険として、会社が任意保険に加入していることが増えています。

この任意保険の内容にもよりますが、通常は、会社に対して安全配慮義務違反に基づき請求できる金額と同額の請求ができることが多いです。

そこで、相手方である会社が、この任意保険に加入しているのか、加入していたとして、その保険がどこまでを補償範囲としているのかという点を確認すべきであることも覚えておきましょう。

損害賠償請求の手続きと注意点

**安全配慮義務違反**に基づく損害賠償請求は、労災保険の申請とは異なる手続きが必要です。

1. 請求の流れ

一般的な請求の流れは以下の通りです。

  1. **会社との交渉**: まずは会社に対して損害賠償を請求し、話し合い(示談交渉)を行います。
  2. **調停**: 話し合いで解決しない場合、裁判所で調停を申し立て、第三者を交えて解決を目指します。
  3. **訴訟**: 調停でも解決しない場合、最終的に裁判を起こし、裁判所の判断を仰ぎます。

この流れの中で、**弁護士**があなたの代理人として会社と交渉し、適切な解決を目指します。

2. 証拠収集の重要性

損害賠償請求を成功させるためには、**証拠の収集**が非常に重要です。

以下の証拠は特に役立ちます。

  • **労働時間記録**: タイムカード、業務日報、PCログなど。
  • **診断書・カルテ**: 医師による診断書、治療経過がわかるカルテ。
  • **事故報告書**: 会社に提出した事故報告書、労働基準監督署への報告書。
  • **写真・動画**: 事故現場や危険な箇所の写真、動画。
  • **同僚の証言**: 職場の状況や会社の対応に関する同僚の証言。

これらの証拠を漏れなく集め、整理することが、請求の成功に大きく影響します。

3. 時効と過失相殺

  • **時効**: 損害賠償請求には時効があり、原則として**事故発生から3年**、または**損害と加害者を知った時から5年**(民法改正後)です。時効期間を過ぎると請求できなくなるため、早めに相談することが重要ですいです。
  • **過失相殺**: あなた自身にも事故の原因となる過失があった場合、その過失の割合に応じて賠償額が減額されることがあります。これを**過失相殺**と呼びます。例えば、会社に7割の責任があり、あなたに3割の責任があった場合、賠償額は3割減額されます。

これらの注意点を踏まえ、適切な対応を取ることが求められます。

弁護士に相談すべき理由とメリット

**労災保険だけでは不十分**だと感じ、会社への**損害賠償請求**を検討するなら、弁護士への相談は不可欠です。

1. 弁護士が果たす役割

  • **適正な損害額の算定**: 慰謝料や逸失利益など、複雑な損害額を法律に基づき正確に算定します。
  • **会社との交渉代理**: 会社が不当に低い賠償額を提示してきた場合、あなたの代理人として毅然と交渉します。
  • **証拠収集のサポート**: 請求に必要な証拠の集め方や、会社への開示請求などをサポートします。
  • **訴訟対応**: 交渉で解決しない場合、裁判手続きをすべて代行し、あなたの権利を守ります。

2. 弁護士に依頼するメリット

  • **精神的な負担の軽減**: 会社との直接交渉や複雑な手続きから解放され、あなたは治療と回復に専念できます。
  • **適正な賠償額の獲得**: 専門家が介入することで、労災保険だけでは得られない、より高額で正当な賠償金を獲得できる可能性が高まります。
  • **早期解決の可能性**: 弁護士が法的な根拠に基づき交渉することで、会社も真剣に対応せざるを得なくなり、早期解決につながる場合があります。

労災事故の解決は、あなたの人生を左右する重要な問題です。

一人で抱え込まず、ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。

おわりに:私たち弁護士は、あなたの味方です

労災事故に遭われた今、一人で悩まずに、ぜひ私たち弁護士にご相談ください。

私たちは、あなたの状況に寄り添い、最善の解決策を一緒に見つけ出します。

無料相談はこちらから

まとめ

  • **労災保険だけでは不十分**な場合が多く、特に**慰謝料****逸失利益**はカバーされません。
  • **安全配慮義務違反**が会社に認められれば、労災保険とは別に会社に**損害賠償請求**が可能です。
  • 損害賠償請求には、**慰謝料**、**逸失利益**など複数の項目があり、それぞれ専門的な算定が必要です。
  • 請求手続きには、**証拠収集**や**時効**、**過失相殺**などの注意点があります。
  • **弁護士**に相談することで、適正な賠償額の獲得、精神的負担の軽減、早期解決につながります。

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