【記入例付】労災アフターケア申請書の書き方|期限や対象傷病も弁護士が解説
目次
「治療終了=終わり」ではありません
労災での治療が「治ゆ(症状固定)」となり、病院での治療費打ち切りを告げられたあなた。
「まだ痛みが残っているのに、これからは自腹で通院しなければならないのか…」と不安を抱えていませんか?
実は、国には「アフターケア制度」という仕組みがあります 。
特定の傷病であれば、治療終了後も「無料」で診察や薬の処方を受け続けることができるのです 。
なお、アフターケアに限らず、労災申請の全体的な流れや手続きの基本について不安がある方は、以下の記事で図解付きで解説していますので、あわせてご確認ください。
労災申請の流れと手続きを専門弁護士がわかりやすく解説|会社が非協力的でも諦めないで
しかし、この制度には「知らないと権利を失う」厳しいルールが存在します。
申請書を書く前に、まずは「自分が対象か」「期限は過ぎていないか」を確認することが先決です。
この記事では、実際の「健康管理手帳交付申請書」の記入例画像を使い、間違いやすいポイントを解説します。
あわせて、申請前に知っておくべき「対象傷病」や「期限」についても、埼玉・越谷エリアで労働災害問題に注力する弁護士が徹底解説します。
【この記事は弁護士 的場崇樹が監修しています】
弁護士 的場崇樹(まとば たかき) (弁護士法人キャストグローバル越谷レイクタウン支店 支店長)
埼玉・越谷・川口エリアを中心に、労働災害や交通事故など「身体の怪我」に関わるトラブル解決に注力。 「労働者を使い捨てにする企業は許さない」という信念のもと、徹底して被害者の権利を守るスタイルに定評がある。
【重要】ペンを取る前に確認!申請しても手帳がもらえない「4つの落とし穴」
申請書の書き方に移る前に、必ず確認してほしい「4つの条件」があります。
これを知らずに手続きを進めるのは、地図を持たずに遭難するようなものです。
1. あなたの怪我は「対象」ですか?(対象傷病)
すべての労災認定者がアフターケアを受けられるわけではありません 。
対象となるのは、国が定めた「20種類の傷病」に限られます 。
代表的なものは以下の通りです。
- 頭頸部外傷症候群等(むちうち、頸肩腕障害、腰痛)
- せき髄損傷
- 人工関節・人工骨頭置換
- 精神障害(うつ病・PTSDなど)
- 白内障等の眼疾患、振動障害、大腿骨頸部骨折、熱傷(やけど)など全20種
ご自身の傷病がこれらに当てはまるか、まずは確認が必要です。
[アフターケア制度の概要と対象傷病](★外部リンク:「厚生労働省 アフターケア制度のご案内 パンフレット」)
2. 「申請期限」を過ぎていませんか?
アフターケアには明確な「申請期限」があります 。
原則として、「労災が治ゆした(症状固定)日の翌日」からカウントが始まります 。
- 「2年」のリミット:頭頸部外傷症候群(むちうち等)、眼疾患、振動障害など
- 「3年」のリミット:精神障害、尿路系障害、慢性肝炎など
- 「期限なし」:せき髄損傷、人工関節置換など
特に「むちうち」や「腰痛」の方は、2年以内に申請しないと権利が消滅するため注意が必要です 。
3. 「更新」ができる傷病ですか?
アフターケア手帳には有効期間(2年または3年)があります 。
期間終了後も症状がある場合は「更新」が可能ですが、一部、更新ができない傷病があります 。
- 更新不可:頭頸部外傷症候群等(むちうち、腰痛など)
- これらは新規交付から「2年間」で完全に終了となります 。
- 更新可能:上記以外の多くの傷病(せき髄損傷などは5年ごとに更新)
4. どんなケア(治療)が受けられますか?
傷病ごとに、無料で受けられる医療措置の範囲が具体的に決まっています 。
- むちうち・腰痛:月1回程度の診察、痛み止めや湿布、筋弛緩薬の処方など
- せき髄損傷:診察、尿路処置、滅菌ガーゼやカテーテルの支給、化膿止め等の処方
- 精神障害:専門医による精神療法・カウンセリング、向精神薬の処方
【画像で解説】失敗しない申請書の書き方(記入例)
ご自身が対象であることが確認できたら、いよいよ申請書の作成です。
ここでは、最も相談が多い「新規申請」の書き方を解説します。
なお、アフターケアは労災認定後の手続きですが、そもそも「労災申請の全体的な流れ」をまず把握したい方は、こちらの記事で図解を交えて詳しく解説しています。
労災申請の流れと手続きを専門弁護士がわかりやすく解説|会社が非協力的でも諦めないで
1. 申請書の入手方法
厚生労働省のホームページからダウンロードするか、お近くの労働基準監督署で入手してください 。
正式名称は「健康管理手帳交付申請書(アフターケア)」です 。
[健康管理手帳交付申請書(アフターケア)のダウンロードはこちら]
(「厚生労働省 健康管理手帳交付申請書 」)
2. 記入のポイント
お手元の申請書と、以下のポイントを照らし合わせてください。

- 傷病名・対象傷病コード: 自分の感覚で書くのではなく、パンフレット等の表にある「正式名称」と「コード」を記入してください 。

- 治ゆ年月日: 「症状が固定した日」を記入します 。これは「完全に怪我が治った日」という意味ではありません。
「治ゆ」と書かれていることから、完治した日と思ってしまうことも多いでしょう。
法律の世界では、症状固定日といい、「症状が固定して、これ以上治療しても良くならないと判断された日」を指します。 - [労災保険における「治ゆ」の定義]
(「厚生労働省 「治ゆとは」) - 不明な場合は空欄でも受け付けられますが 、期限の判定に関わるため、可能な限り主治医に確認して記入しましょう。
3. 医師の証明は必要?
新規申請の場合、原則として「医師の診断書」の添付は不要です。
申請書にある医師の証明欄への記入も、新規の時点では求められません。
(※数年後の「更新」申請の際は、原則として医師の診断書が必要になります) 。
4. 写真は必要?
アフターケア手帳の申請において、証明写真の添付は不要です。
申請書にも写真を貼る欄はありませんので、準備しなくて大丈夫です。
申請書の提出先と流れ
書類が完成したら提出です。
提出先は「労働局」です
ここで、9割の方が勘違いしてしまう「最大の落とし穴」があります。
それは、提出先は「労働基準監督署」ではないということです。
これまでの治療費や休業補償の請求は、ずっと地元の監督署(春日部や川口など)に出していましたよね。
だから、「今回もいつもの監督署だろう」と思ってしまいがちです。
しかし、アフターケアの申請だけは管轄が違い、各都道府県にある「労働局」が窓口になります。
弁護士としてアドバイスです。
最短で手帳が欲しいなら、「労働局へ直接郵送」してください。
わざわざ電車に乗って持参する必要はありません。
ここ埼玉・越谷エリアにお住まいの方であれば、提出先は「埼玉労働局」です。
宛先は以下の通りです。
【埼玉労働局 労働基準部 労災補償課】
〒330-0074 さいたま市浦和区北浦和5-6-5 埼玉県浦和合同庁舎
[埼玉労働局へのアクセス]
手帳が届くまでの期間
審査には時間がかかります。
申請から手帳が届くまで、おおよそ1ヶ月程度を見ておいてください。
忘れていませんか?「通院費」も請求できます
無事に手帳が届き、通院を開始した後、忘れてはいけないのが「通院費(交通費)」の請求です 。
以下の条件を満たせば、交通費も国から支給されます 。
- 支給対象:自宅から病院まで片道2km以上ある場合 。
- 自家用車の場合:ガソリン代の実費ではなく、「1kmあたり37円」で計算されます 。
- 例:往復10km通院した場合、10km × 37円 = 370円が支給されます 。
- 請求期限:通院した翌月から5年間です 。
専用の「アフターケア通院費支給申請書」が必要ですので、忘れずに準備しておきましょう 。
弁護士からのアドバイス:アフターケアと「後遺障害」の関係
アフターケア制度は、治療後の生活を支える大切な権利です。
対象の方は必ず申請してください。
しかし、弁護士としてもう一つ、お伝えしたいことがあります。
「アフターケアが必要なほど、体に痛みが残っている」という事実は、法的に非常に重い意味を持ちます。
もし、あなたの後遺障害等級が「非該当」や「14級」だとしたら、それは実態に合っていない可能性があります。
アフターケアの対象となるような強い症状が残っている場合、本来ならより高い等級が認定されるべきかもしれません。
具体的な等級認定の基準や、高い等級を獲得するためのポイントについては、以下の記事で解説しています。
後遺障害を認めてもらうには?後遺障害申請方法と等級ごとの補償金額を解説
現場の実務では、アフターケアが必要なレベルの症状であれば、12級以上の等級が認定され、数百万〜一千万円クラスの補償を受けられるケースも少なくありません。
また、事故の原因が会社の安全管理ミスにある場合、労災保険の給付だけでは「慰謝料」がカバーされません。
会社に対して本来請求できるはずの損害賠償については、こちらの記事で詳しく説明していますので、取りこぼがないか必ず確認してください。
労災保険金だけの受給だけでは足りない・・・。会社に損害賠償請求をすることはできるのか
当事務所でも、アフターケアが必要なほどの怪我を負ったケースで、弁護士が介入することで高額な賠償金を獲得した事例があります。
【当事務所の解決事例】 【埼玉・越谷】派遣先での労災事故で後遺障害11級認定、1176万円獲得事例
派遣先での作業中に事故に遭ったものの、責任の所在が曖昧になりがちなケースでした。 弁護士が介入し、適切な後遺障害等級(11級)の認定を獲得。 さらに会社側への損害賠償請求を行い、最終的に1176万円という高額な補償を獲得しました。
「手帳をもらって終わり」にせず、「今の等級や補償額は本当に正しいのか?」と一度疑ってみてください。
当事務所では、アフターケア申請のサポートはもちろん、その後の等級認定や会社への賠償請求まで、トータルで支援しています。
ご自身の状況に不安がある方は、まずは無料相談をご利用ください。
あなたが本来受け取るべき「正当な補償」を、一緒に確認しましょう。







