交通事故で相手が無保険…泣き寝入り回避!賠償金を回収する5つの手順
この記事の監修・執筆者
弁護士 的場崇樹(弁護士法人キャストグローバル越谷レイクタウン支店代表) 埼玉弁護士会所属。
目次
第1 はじめに
「相手が無保険だった」
その事実を聞かされた瞬間、目の前が真っ暗になってしまったのではないでしょうか。
車の修理費はどうなるのか。
怪我の治療費は誰が払ってくれるのか。
怒りと不安で、夜も眠れない日々を過ごされているかもしれません。
実は、任意保険に入っていない加害者は、「お金がないから払えない」と開き直ることが非常に多いのが現実です。
知識がないまま相手の言いなりになってしまうと、本来もらえるはずの賠償金を一円も受け取れず、泣き寝入りすることになりかねません。
最悪の場合、治療費も修理費もすべて自己負担という、理不尽な結果が待っています。
しかし、決して諦めないでください。
相手が無保険であっても、正しい手順を踏めば、しかるべき補償を回収する道は残されています。
この記事では、無保険事故の被害者が知っておくべき「3つの資金源」と、確実に回収するための「5つの手順」をわかりやすく解説します。
数多くの無保険トラブルを解決に導いてきた、交通事故に強い弁護士が、現場のリアルな知識をお伝えします。
この記事を読めば、あなたが今すぐやるべきことと、損をしないための正しい選択肢が明確になるはずです。
はっきり申し上げます。
任意保険にも入らず車を運転するという極めて非常識、無責任なことは許されるべきではありません。
ましてや、事故を起こして『金がない』と開き直る。
これは社会人として、いや人として許されることではありません。
弊所は弁護士事務所として、そのような無責任な加害者を絶対に許しませんし、被害者の方が泣き寝入りすることだけは全力で阻止したいと考えています。
実際、弊所では、回収可能性は置いといて、訴訟提起、口座調査、差し押さえ、財産開示手続きによる呼び出しなど、これまでにも徹底的に争ってきた実績があります。
第2 そもそも「相手が無保険」とはどういう状態か?
ひとことで「無保険」と言っても、実は大きく分けて2つのパターンがあります。
相手がどちらの状態なのかによって、今後の対応や回収の難易度が変わってきます。
まずは敵を知ることから始めましょう。
1 任意保険未加入と自賠責未加入の違い
車を運転する人が入る保険には、「自賠責保険(じばいせき)」と「任意保険(にんい)」の2種類があります。
この2つは、役割が全く違います。
-
自賠責保険(強制保険)
これは、車を持つすべての人が必ず入らなければならない保険です。
法律で義務付けられており、これに入っていないと車検も通りません。
[自賠責保険(自動車損害賠償保障法5条、9条)](e-Gov 自動車損害賠償保障法)
しかし、これはあくまで「被害者の最低限の救済」が目的です。
そのため、補償されるのは「怪我の治療費や慰謝料」などの人身損害だけで、金額にも上限があります。
また、壊れた車の修理代(物損)は、1円も補償されません。
-
任意保険
これは、自賠責保険では足りない分をカバーするために、ドライバーが自由に入る保険です。
無制限の賠償や、弁護士特約、ロードサービスなどがついています。
一般的に「無保険車との事故」と言う場合、この「任意保険に入っていない車」との事故を指すことがほとんどです。
さらに深刻なのが、法律で義務の「自賠責保険」にすら入っていない、あるいは期限が切れているケースです。
これを「無保険車(無共済車)」と呼び、被害者にとっては最も過酷な状況となります。
2 なぜ無保険車との事故は「最悪」と言われるのか
無保険事故が「最悪」と言われる最大の理由は、お金の問題だけではありません。
「相手の保険会社が、間に入ってくれない」
これが最も大きなストレスになります。
通常の事故であれば、相手の保険会社の担当者が窓口になり、示談交渉や支払い手続きを進めてくれます。
しかし、無保険の場合は保険会社が出てきません。
つまり、あなたは、「加害者本人」と直接、お金の交渉をしなければならないのです。
想像してみてください。
保険にも入らないような無責任でルーズな相手や、お金がないと言っている相手と、電話や対面で交渉する場面を。
「金がないから払えない」
「俺も悪くない」
このように開き直られたり、連絡を無視されたりすることが日常茶飯事です。
治療で体がつらい時に、このような不誠実な相手と直接やり取りをする精神的苦痛は計り知れません。
だからこそ、個人で戦おうとせず、プロの力を借りることが重要なのです。
第3 被害者がとるべき初期対応と「請求」の全体像
相手が無保険だとわかった時、最初にあなたが取る行動が、その後の明暗を分けます。
焦る気持ちを抑えて、まずは以下の手順を確実に進めてください。
1 警察への届出と「交通事故証明書」の確保
まず絶対にやらなければならないのが、警察への連絡です。
例えば、越谷市内で事故が起きた場合は越谷警察署(越谷市東越谷)の管轄になります。
どんなに軽微な事故でも、必ず警察を呼んで現場検証を行ってもらってください。
なぜなら、警察に届け出ないと「交通事故証明書」が発行されないからです。
[道路交通法(報告義務)](e-Gov 道路交通法第72条)
この証明書がないと、自分が保険を使うことも、国の救済制度を使うこともできません。
「警察を呼ばずに示談にしよう」
相手がそう持ちかけてきても、絶対に断ってください。
それは、あなたが使える救済手段をすべて捨てることと同じだからです。
2 加害者の身元確認と支払い能力の調査
警察を待つ間、できる限り相手の情報を集めます。
相手が逃げてしまったり、連絡が取れなくなったりするリスクがあるからです。
スマホのカメラで構いませんので、以下の情報を可能な限り記録してください。
- 相手の運転免許証(表・裏)
- 車検証(所有者と使用者を確認するため)
- 相手の車のナンバープレート
- 相手の名刺(勤務先を把握するため)
- 相手の自賠責保険証(もしあれば)
特に「勤務先」の情報は重要です。
万が一、相手が支払いをしなかった時に、給料を差し押さえるための強力な手掛かりになるからです。
3 【重要】賠償金を請求できる「3つの財布」とは
これが、無保険事故で最も重要な考え方です。
相手にお金がない場合、回収できる可能性がある場所(財布)は3つあります。
- 自分の自動車保険
- 国の救済制度(自賠責保険、政府保障事業)
- 加害者本人
鉄則は、「1 → 2 → 3」の順番で検討することです。
一番確実で早いのが「自分の保険」です。
次に、相手が自賠責すら入っていない場合は「国の制度」を使います。
最も難易度が高く、時間がかかるのが「加害者本人」への請求です。
感情的には「相手に払わせたい」と思うのが当然ですが、まずは「確実に回収できるところ」から確保するのが、賢い戦い方です。
第4 【回収源①】自分の自動車保険を使う(人身傷害・無保険車傷害)
実は、無保険事故の解決策として「最強」なのが、あなた自身が入っている自動車保険です。
「自分が被害者なのに、自分の保険を使うの?」
そう思われるかもしれませんが、これが最も早く、高額な補償を受け取れる方法です。
1 使える特約の種類とメリット
主に役立つのは以下の3つの特約です。
- 人身傷害補償保険(特約):過失割合に関係なく、実際の損害額(治療費や慰謝料など)を自分の保険会社が払ってくれます。
- 無保険車傷害特約:相手が無保険で、かつ後遺障害が残ったり死亡したりした場合に、賠償金をカバーしてくれます。
- 車両保険:相手が払えない車の修理費(物損)を補償してくれます。
これらを使えば、面倒な相手との交渉をせずに、保険会社からスムーズにお金を受け取れます。
👉 自分の保険を使った回収手順について、詳しくはこちらの記事をご覧ください
【弁護士解説】相手が無保険でも諦めない。「自分の保険」で賢く高額回収する手順と優先順位
2 自分の保険を使っても等級が下がらないケース
「保険を使うと、来年の保険料が上がるのでは?」と心配される方も多いでしょう。
確かに車両保険を使うと等級は下がりますが、「人身傷害補償保険」などの怪我に関する特約だけなら、等級が下がらない(ノーカウント事故)ケースが多くあります。
保険料を気にして数百万円の補償を捨てるのは本末転倒です。
まずはご自身の保険証券を確認するか、保険会社に「これを使っても等級に影響しますか?」と聞いてみてください。
第5 【回収源②】国の救済制度「政府保障事業」を利用する
相手が任意保険だけでなく、強制保険である「自賠責保険」にすら入っていない場合もあります。
あるいは、ひき逃げで相手が誰かわからない場合もあるでしょう。
そんな時に、被害者を救う「最後の砦」となるのが、国の政府保障事業(せいふほしょうじぎょう)です。
1 政府保障事業とは?対象になる被害者
政府保障事業とは、国が加害者に代わって、被害者に最低限のお金を支払ってくれる制度です。
[政府保障事業について](国土交通省 政府保障事業について)
通常、交通事故の被害者は、加害者の自賠責保険から支払いを受けます。
しかし、相手が自賠責に入っていなかったり、相手が逃げてしまったりすると、請求先がなくなってしまいます。
これでは被害者があまりにも救われないため、国が特別に補償をしてくれるのです。
対象になるのは、主に以下の2つのケースです。
- 無保険車による事故:相手が自賠責保険(共済)に入っていない、または期限切れの車だった場合。
- ひき逃げ事故:相手の車がわからず、自賠責保険に請求できない場合。
つまり、相手から一円も回収できる見込みがない絶望的な状況でも、この制度を使えば最低限の救済は受けられるということです。
2 請求できる金額と手続きの流れ
「国が払ってくれるなら安心だ」と思われるかもしれませんが、いくつか重要な注意点があります。
まず、受け取れる金額の上限は、自賠責保険と同じ基準になります。
- 怪我(傷害):上限120万円まで
- 後遺障害:上限4,000万円まで(等級による)
- 死亡:上限3,000万円まで
これを超える損害や、車の修理費(物損)については、残念ながら補償されません。
また、政府保障事業はあくまで「最終的な救済手段」という位置づけです。
そのため、もしあなたが健康保険や労災保険を使える場合は、先にそちらを使って治療費を抑えることが義務付けられています。
さらに、審査には非常に時間がかかります。
通常の自賠責保険なら1ヶ月程度で支払われるものが、政府保障事業だと書類を出してから数ヶ月、長いと半年以上待たされることも珍しくありません。
手続きの書類も複雑で厳格なため、ミスなく申請するために専門家のサポートを受ける方も多いです。
第6 【回収源③】加害者本人へ直接請求する際のリスク
自分の保険も使えない、政府の制度でも足りない。
そうなると、残る手段は一つしかありません。
事故を起こした張本人、「加害者」への直接請求です。
しかし、はっきり申し上げます。
これが最も精神をすり減らす、過酷な道のりになります。
弊所でも、加害者が無保険の事案を多数扱ってきましたが、最初から連絡が取れない人、途中で自己破産をしてしまう人、自賠責保険、労災保険で足りるだろうと開き直る人、支払うといっているじゃないかと開き直って支払わない人沢山の人を見てきました。
1 無保険者との「示談」交渉が難航する理由
なぜ、無保険者との話し合いはうまくいかないのでしょうか。
最大の理由は、「プロの仲介役がいない」という点です。
通常なら保険会社が間に入って、冷静に金額を計算してくれます。
しかし今回は、専門知識のない素人同士が、直接お金のやり取りをしなければなりません。
相手が誠実な人ならまだ良いでしょう。
ですが、そもそも保険に入っていない人は、経済的に困窮しているか、ルーズな性格であることが多いのが現実です。
「俺は悪くないから払わない」と逆ギレされる。
「今は金がないから勘弁してくれ」と泣き落としをされる。
電話に出なくなり、そのまま逃げられてしまう。
このようなトラブルが後を絶ちません。
まともな話し合いが成立しない相手と交渉するのは、砂漠に水を撒くような徒労感があります。
2 「無い袖は振れない」と言われたらどうするか
「払いたくても、金がないから払えない(無い袖は振れない)」
加害者にこう言われたら、どうすればいいのでしょうか。
ここで「じゃあ仕方ない」と諦めてはいけません。
今すぐ全額払えなくても、将来にわたって分割で払わせる約束を取り付ける必要があります。
この時、絶対にやってはいけないのが「口約束」や「簡単なメモ書き」だけで済ませることです。
メールやLINE、簡単な書類への誓約書でもよいので、必ず形に残すようにして下しさい。
👉 差し押さえの具体的な方法については、こちらの記事で解説しています
【判決が出たのに払わない!】加害者の財産を突き止める「財産開示手続」とは?弁護士が解説
第7 無保険事故で獲得できる「慰謝料」と「損害賠償」の相場
「相手が無保険だから、どうせ慰謝料なんて払ってもらえないだろう」
もしそう思って諦めかけているなら、それは大きな間違いです。
相手にお金があるかどうかと、あなたに「いくらもらう権利があるか」は、全く別の話だからです。
ここでは、あなたが本来受け取るべき「正当な金額」について解説します。
1 慰謝料の3つの基準(自賠責・任意・弁護士基準)
交通事故の慰謝料には、計算に使う「ものさし」が3つあることをご存じでしょうか。
どのものさしを使うかで、金額が2倍も3倍も変わってしまいます。
- 自賠責基準(じばいせききじゅん) 国が決めた、被害者救済のための最低限の基準です。 金額は最も低くなります。
- 任意保険基準(にんいほけんきじゅん) 各保険会社が独自に決めている基準です。 自賠責よりは少し高いですが、それでも低めに設定されています。
- 弁護士基準(べんごしきじゅん) 過去の裁判の判決をもとにした基準です。 3つの中で最も金額が高く、法的に正当な金額とされています。
重要なのは、「相手が無保険でも、弁護士基準で請求していい」 ということです。
相手が保険に入っていないからといって、あなたの怪我の痛みが軽くなるわけではありません。
発生している法的な損害賠償義務は、相手が誰であろうと変わりません。
弁護士が介入することで、相手の財力に関わらず、堂々と「最も高い基準(弁護士基準)」での支払いを主張することができます。
👉 無保険の場合の慰謝料相場については、こちらの記事で詳しく解説しています
入通院慰謝料は自賠責基準と裁判所基準でどれくらい違う?入通院慰謝料の計算式
【慰謝料のかんたん自動計算】入通院慰謝料・後遺障害慰謝料などを自動で計算
2 治療費・休業損害・逸失利益の計算
請求できるのは、精神的な慰謝料だけではありません。
事故のせいで実際に発生したマイナス分も、すべて請求する権利があります。
- 治療費
病院での診察代、薬代、入院費などです。 - 休業損害(きゅうぎょうそんがい)
怪我のせいで仕事を休まなければならず、減ってしまったお給料のことです。 主婦の方でも「家事ができなかった分」として請求できる場合があります。 - 逸失利益(いっしつりえき)
後遺症が残ってしまい、将来にわたって働きにくくなったことによる「稼げなくなったお金」のことです。
これらを合計すると、賠償金は数百万円、場合によっては一千万円を超えることもあります。
相手が「金がない」と言っても、この借金(損害賠償債務)が消えるわけではありません。
まずは「自分にはこれだけの権利があるんだ」と知ることが、回収への第一歩です。
第8 無保険事故こそ「弁護士」に依頼すべき3つの理由
「相手にお金がないのに、弁護士費用を払ったら赤字になるのでは?」
そう心配される方もいます。
しかし、無保険事故こそ、プロの介入が必要です。
「特に確認していただきたいのが、ご自身の保険に『弁護士費用特約』が付いているかどうかです。
これがあれば、弁護士費用は保険会社が負担するため(上限300万円)、あなたの自己負担は実質0円で弁護士に依頼できます。
相手が無保険でお金がない場合でも、費用倒れのリスクを完全に回避できます。
1 加害者の財産調査と回収の可能性を高める
弁護士は、職権で相手の財産をある程度調査することができます。
また、弁護士名で内容証明郵便を送るだけでも、「逃げ切れない」と相手に観念させ、親族などに借金をしてでも支払ってくるケースがあります。
「給料の差し押さえ」や「預金の差し押さえ」など、法的手段を具体的にチラつかせることで、回収の可能性を最大限に高めます。
2 煩わしい本人交渉から解放される
何より大きなメリットは、精神的な平穏です。
話の通じない、不誠実な加害者との連絡をすべて弁護士が代行します。
あなたは二度と相手の声を聞く必要はありません。
ストレスから解放され、怪我の治療や日常生活を取り戻すことに専念できます。
【当事務所の解決事例】
任意保険未加入の加害者の事故で、自賠責保険金を先行回収し、残額の賠償金の支払いも獲得した事例
相手方が無保険車で、当初は賠償金の回収が危ぶまれる状況でした。しかし、当事務所の弁護士が介入し、自賠責保険金を淡々と先行回収し、その後粘り強く交渉を行った結果、最終的に残額の支払いも獲得し、無事に解決に至りました。無保険事故であっても、弁護士が介入することで結果が大きく変わるケースがあります。
第9 まとめ:相手が無保険でも諦めずに適正な補償を
相手が無保険だからといって、泣き寝入りする必要はありません。
回収するための道は、必ず残されています。
大切なのは、感情的になって相手と直接やり合うのではなく、正しい順番で冷静に動くことです。
- まず自分の保険が使えないか確認する。
- 次に政府保障事業を検討する。
- それでも足りない分は、弁護士を入れて加害者から回収する。
この手順を一つずつ踏めば、最悪の事態は避けられます。
しかし、無保険事故はまさに「スピード勝負」です。
時間が経てば経つほど、相手が財産を隠したり、連絡先を変えて逃げたりするリスクが高まってしまうからです。
「どうしよう」と悩んでいるその一瞬の間にも、回収のチャンスはどんどん減っていきます。
手遅れになってしまう前に、まずは一度、交通事故に強い弁護士にご相談ください。
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