【弁護士解説】相手が無保険でも諦めない。「自分の保険」で賢く高額回収する手順と優先順位

無保険 交通事故

「交通事故の相手が無保険だった…」

 加害者からその事実を告げられた時、怒りとともに、「治療費や車の修理代は誰が払ってくれるのか?」

「まさか、泣き寝入りするしかないのか?」と、目の前が真っ暗になるような不安を感じたのではないでしょうか。

インターネットで検索すると、「相手の給与を差し押さえる」「内容証明郵便を送る」といった強硬な手段がたくさん出てきます。

しかし、実はそれらを最初に行うのは間違いです

なぜなら、相手に「お金がない(支払い能力がない)」場合、そこにどれだけ時間と労力を使っても、結局1円も回収できずに終わってしまうリスクが非常に高いからです。

無い袖は振れない(ないそではふれない)

これは法律の世界でも残酷な現実です。

相手にお金がなければ、裁判で勝っても回収できません。

では、どうすればいいのか?

数多くの無保険事故を解決してきた弁護士としての結論は、

「まずは『ご自身の保険』を確認すること」。

実はこれが、最も確実で、かつ高額な賠償金を回収できる最短ルートです。

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この記事では、相手が無保険の場合に被害者がとるべき「正しい行動の優先順位(3つのステップ)」と、「一円でも多く回収するためのプロの知恵」を、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。

これを読めば、あなたが「今、誰に対して、何をすべきか」が明確になります。

まずは深呼吸をして、読み進めてください。

【結論】相手が無保険でもパニックにならない。解決への「3つのステップ」

相手が無保険だと分かっても、焦って無理な行動をする必要はありません。

解決までには、効率の良い「正しい順番(優先順位)」があるからです。

いきなり相手の家に押しかけたり、難しい法律を使って内容証明を送ったりする必要はありません。

以下の3つのステップを、必ず「上から順番に」検討してください。

  1. Step 1(最優先):ご自身の保険会社から回収する

  2. Step 2(次善策):国の救済制度「自賠責保険」又は「政府保障事業」を使う

  3. Step 3(最終手段):相手に直接請求する

多くのケースでは、実は「Step 1」だけで、十分な賠償金を確保して解決できます。

相手にお金があるかどうかに一喜一憂せず、まずは足元から固めていきましょう。

それぞれのステップについて、具体的に何をすればいいのか解説します。

Step 1:【最重要】「自分の保険」を使えば、相手が無資力でも関係ない

無保険事故において、被害者がとれる最強の解決策。

それは、加害者からお金を取るのではなく、「ご自身の自動車保険(任意保険)を使うこと」です。

「相手が悪いのに、なぜ自分の保険を使わないといけないの?」と思うかもしれません。

しかし、相手にお金がない以上、そこを攻めるのは茨の道です。

それよりも、契約している保険会社から確実にお金を受け取る方が、圧倒的に早く、精神的にも楽に解決できます。

まずは保険証券を用意して、以下の2つの特約が付いていないか確認してください。

まずは証券を確認。「人身傷害特約」(保険)と「無保険車傷害特約」

確認すべき特約は、主に以下の2つです。

① 人身傷害補償特約(じんしんしょうがいほしょうとくやく)

これは、交通事故であなたが怪我をした場合に、治療費や慰謝料などを「あなたの保険会社が」払ってくれる保険です。

過失割合(どちらがどのくらい悪いか)に関係なく、実際の損害額を補償してくれます。

相手が無保険でお金を持っていなくても、この保険さえあれば、まとまった金額を受け取ることができます。

② 無保険車傷害特約(むほけんしゃしょうがいとくやく)

その名の通り、相手が保険に入っていない場合に使える専用の特約です。

相手から十分な賠償を受けられない時に、その不足分をご自身の保険会社がカバーしてくれます。

また、相手が後遺障害(重い怪我)を負わせておきながら逃げてしまった場合などにも使えます。

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【弁護士の秘策】自分の保険会社を相手に「裁判基準」で請求する

ここで、保険会社が決して教えてくれない「最も重要なポイント」をお伝えします。

ご自身の保険(人身傷害など)を使う場合、通常は保険会社が独自に決めた「保険会社基準(約款基準)」という計算式で金額が提示されます。

しかし、この金額は、裁判所が認める本来の賠償額(裁判基準)に比べて、かなり低く設定されていることがほとんどです。

「自分の保険だから、決まった金額しかもらえない」と諦めてはいけません。

実は、弁護士が介入して、あなたのご加入している保険会社と交渉(場合によっては訴訟提起)をすることで、金額を「裁判基準(弁護士基準)」まで引き上げることが可能です。

つまり、相手にお金がなくても、「自分の保険会社から、裁判基準での満額の賠償金を受け取る」ことができるのです。

これこそが、無保険事故で被害者が損をしないための「最強のルート」です。

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実際に弊所でも、ご自身の保険会社に対して訴訟などを行い、大幅な補償を獲得した事例が多数あります。

【👇 弊所の解決事例】

保険を使っても「等級」は下がらない?

「自分の保険を使うと、来年の保険料(等級)が上がるのでは?」と心配される方も多いでしょう。

しかし、人身傷害補償保険などを使うだけであれば、「ノーカウント事故」として扱われ、等級が下がらないケースが多くあります。

(※契約内容や、車両保険を併用するかどうかによって異なりますので、必ず保険会社に確認してください)

等級への影響がないのであれば、これを使わない手はありません。

まずは、「自分の保険が使えるか」「いくらくらい受け取れそうか」を確認することから始めましょう。

弁護士費用が心配な方も、以下の特約があれば実質負担ゼロで依頼可能です。

【あわせて読みたい】 弁護士費用特約とは?【費用の上限や弁護士の選択方法】

Step 2:自分の保険がない場合は、相手の「自賠責」か「国の制度」を使う

もし、Step 1で紹介した「自分の保険」が使えなかった場合でも、すぐに諦める必要はありません。

次に検討すべきなのは、公的な補償制度です。

ただし、相手の状況によって「請求する相手」が変わります。まずは相手がどちらのタイプか確認してください。

【タイプA】相手が「自賠責保険」には入っている場合

(※任意保険には入っていないが、車検は通っているケース)

このケースは、不幸中の幸いです。

相手の「自賠責保険(じばいせきほけん)」に対して、被害者自身が直接請求を行うことができます(これを「被害者請求」といいます)。

自賠責保険は、被害者救済のために国が定めた最低限の保険ですので、相手に支払い能力がなくても、以下の限度額までは確実に支払われます。

  • 傷害(怪我)の場合:上限120万円まで (治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料など)

  • 後遺障害が残った場合:上限75万円〜4,000万円まで (※障害の等級によって金額が決まります)

  • 死亡の場合:上限3,000万円まで

まずは、交通事故証明書などで「相手の自賠責保険会社」を確認し、請求手続きを行いましょう。

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【タイプB】相手が「自賠責」すら入っていない場合

(※車検切れ、泥棒、ひき逃げで相手が不明なケース)

相手が自賠責保険にすら入っていない「完全無保険」の場合、当然ながら自賠責への請求はできません。

この場合に使われるのが、国(国土交通省)の「政府保障事業(せいふほしょうじぎょう)」という制度です。

これは、自賠責保険というセーフティネットから漏れてしまった被害者を、国が代わりに救済する最後の砦です。

【外部リンク】 政府保障事業について|国土交通省

■ どのような補償が受けられる? 基本的に、自賠責保険と同じ基準・同じ金額が補償されます。

怪我の治療費はもちろん、**後遺障害(上限4,000万円)死亡(上限3,000万円)**に対する賠償金も支払いの対象です。

■ 注意点:審査が厳しく、他の給付が優先される 政府保障事業はあくまで「最終手段」であるため、以下の厳しいルールがあります。

  1. 他の制度が優先される 健康保険や労災保険、遺族年金など、他の公的な給付を受けられる場合は、その金額が差し引かれます。

  2. 親族からの援助なども差し引かれる 親戚から治療費を出してもらった場合など、損害が補填されているとみなされると、その分は支払われません。

  3. 時間がかかる 国による厳格な審査があるため、支払いまでに数ヶ月〜1年以上かかることも珍しくありません。

このように手続きが非常に複雑ですので、政府保障事業を使う場合は、弁護士のサポートを受けることを強くおすすめします。

Step 3:自分の保険がない場合は「訴訟」へ。3つの現実的結末

Step 1の「無保険車傷害特約」に入っておらず、Step 2の「政府保障事業」でも損害がカバーしきれない場合。

残された道は、加害者本人に対して裁判を起こし、強制的に支払わせることだけです。

しかし、相手は「無保険」で車に乗るような人物です。

誠意を持って対応する可能性は低く、私たち弁護士が介入しても、**きれいごとでは済まない「厳しい戦い」**になることがほとんどです。

弊所で実際に取り扱った事案でも、結末は以下の3つのパターンに分かれます。

パターン①:裁判で「判決」を取り、観念させて全額回収

(※最も理想的なケース)

相手が話し合いに応じないため、速やかに訴訟を提起したケースです。

裁判所から「〇〇万円を支払え」という判決(またはそれに準じる命令)が出たことで、相手が事の重大さを理解し、観念して謝罪。

結果として、親族などに援助を頼んで一括で支払ってきた事例や、自賠責で足りない分を回収できた事例があります。

法的なプレッシャーが功を奏した成功例です。

【👇 弊所の解決事例】

パターン②:口座を差し押さえたが、「一部」しか回収できなかった

(※粘り強く戦ったケース)

判決が出ても相手が支払わなかったため、強制執行(差し押さえ)を行ったケースです。

さらに「財産開示手続」を行い、相手の銀行口座を特定して差し押さえましたが、口座には数万円〜数十万円しか残っておらず、賠償金の一部しか回収できませんでした。

無い袖は振れない」という現実を突きつけられるケースですが、それでも「やるだけのことはやった」という納得感は得られます。

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パターン③:相手が逃げ回り、依頼者様が「疲れて」終了した

(※知っておいてほしい現実)

これが最も悔しいケースです。

財産開示手続を行っても、相手が呼び出しを無視して裁判所に来ない(出頭しない)ことがあります。

法律上は、さらに刑事告訴をして警察を動かしたり、再度手続きを行ったりすることも可能です。

しかし、ここまで来ると、戦いは数ヶ月〜年単位に及びます。

被害者である依頼者様自身が、「これ以上、あの不誠実な相手に関わりたくない」「もう疲れたので、これで終わりにしたい」と、精神的に限界を迎えてしまうのです。

特に、相手が外国人の場合は、言葉の壁や帰国リスクもあり、さらに専門的な対応が必要になります。

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私たち弁護士は、依頼者様が「戦いたい」と望む限り、徹底的に相手を追及します。

ですが、依頼者様の心が壊れてしまっては意味がありません。

だからこそ、私たちは「回収の見込み」と「かかる労力(ストレス)」を最初に正直にお伝えします。

その上で、どこまで戦うか、一緒にベストな判断をしていきたいと考えています。

無保険事故こそ、個人の力での解決は困難です(まとめ)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

相手が無保険だった場合の対処法について、優先順位(ステップ)を解説しました。

最後に、もう一度重要なポイントを整理します。

  1. まずは「自分の保険(人身傷害など)」を確認する(最重要!)

  2. 自分の保険がなければ、相手の「自賠責」か「政府保障事業」を使う

  3. それでも足りなければ、弁護士を入れて「訴訟」を行い、可能な限り回収する

もっとも大切なことは、「相手にお金がないからといって、あなたが泣き寝入りする必要はない」ということです。

特に、「自分の保険」を使う際に弁護士が入ることで、賠償金が数百万円単位で増額されるケースは珍しくありません。

「私の保険でいくらもらえる?」

「この特約は使えるの?」

その確認だけでも構いません。

被害者の方が損をしないために、まずは一度、弊所の無料相談をご活用ください。

あなたが正当な補償を受け取れるよう、私たちが全力でサポートいたします。

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