内縁の夫婦・認知された子に遺留分はある?相続権の有無から弁護士が解説

「内縁の夫婦には遺留分がないと聞いたけれど、本当でしょうか。
一方で、認知した子どもには相続権があると聞いたことがあります。
両者の違いがよく分からず不安に感じている」という相談は少なくありません。
本記事では、内縁の夫婦と認知された子どもについて、相続権・遺留分の有無という観点から違いを整理し、それぞれの立場でとり得る対策を弁護士が解説します。

【監修】的場崇樹弁護士(弁護士法人キャストグローバル 越谷レイクタウン支店)

相続問題、なかでも遺留分侵害額請求に関するご相談で豊富な解決実績を持つ弁護士です。
本記事は公開日時点の民法および公表されている裁判例に基づいて執筆しています。

内縁の夫婦に遺留分が認められないのはなぜですか

結論から述べると、内縁の夫婦の一方が亡くなった場合、もう一方の内縁配偶者には、原則として遺留分は認められません。
これは、遺留分が「法定相続人」であることを前提とした権利であることに理由があります。

遺留分は法定相続人に認められる権利です

民法上、配偶者としての相続権(民法890条)が認められるのは、婚姻届を提出した法律上の配偶者に限られます。
内縁関係は、実質的に夫婦同然の生活を送っていたとしても、婚姻届を提出していない以上、法律上の配偶者とは扱われません。
そのため、内縁の配偶者は民法900条が定める法定相続人にあたらず、遺産を相続する権利そのものが発生しません。
遺留分(民法1042条)は、この法定相続人としての地位を前提に、一定の相続人に最低限保障される取り分ですので、法定相続人でない内縁配偶者には遺留分も認められないことになります。

内縁配偶者への遺贈・生前贈与は他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります

内縁の配偶者自身は遺留分を主張できない一方で、内縁の配偶者が遺言によって財産を受け取る場合(遺贈)や、生前に贈与を受けていた場合には、事情が異なります。
これらの遺贈・生前贈与は、被相続人の子や親などの法定相続人から見れば、遺留分を侵害する原因になり得るためです。
遺贈については、原則としてその全額が遺留分侵害額請求の対象となります。
生前贈与についても、相続開始前の1年間になされたものは原則として対象となり、当事者双方が他の相続人の遺留分を侵害することを知りながら贈与した場合には、1年より前の贈与であっても対象となり得ます。
内縁の配偶者へ財産を渡す場面では、渡す側・受け取る側の双方が、この点を踏まえて準備を進める必要があります。

要点まとめ

  • 内縁の配偶者は法定相続人にあたらず、遺留分も原則として認められません。
  • 内縁の配偶者への遺贈・生前贈与は、他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける対象になり得ます。
  • 認知された子どもは、嫡出子と同じ割合の相続権・遺留分が認められます。

認知された子どもには嫡出子と同じ遺留分が認められます

内縁の配偶者とは対照的に、被相続人が認知した子ども(非嫡出子)については、嫡出子と同じ割合の相続権・遺留分が認められています。

認知の効力は出生時にさかのぼります(民法784条)

認知とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子について、父親が自分の子であると法律上認める手続きです。
民法784条は、認知の効力は子の出生の時にさかのぼって生じると定めています。
そのため、被相続人が生前に認知していた子どもは、出生時から法律上の親子関係があったものとして扱われ、法定相続人としての地位(民法887条1項)を有することになります。
なお、認知前に既に他の相続人が取得していた権利については、認知の遡及効によって害されることはありません。

非嫡出子の相続分格差はすでに違憲と判断されています(最高裁平成25年9月4日大法廷決定)

かつての民法900条4号ただし書きには、非嫡出子(婚姻関係にない男女の間に生まれた子)の法定相続分は、嫡出子の2分の1とする定めがありました。
しかし、最高裁判所は平成25年9月4日の大法廷決定において、この規定が法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反すると判断しました。
この決定を受けて同年に民法が改正され、現在では嫡出子と非嫡出子の法定相続分に差はなく、認知された子どもは嫡出子と同じ割合で相続し、遺留分(法定相続分の2分の1、民法1042条)についても同じ割合が認められています。

同様に、被相続人と養子縁組をした子どもについても、実子と同じ割合の遺留分が認められるのかが問題となることがあります。
普通養子と特別養子、前妻の子との関係など、養子縁組が絡む場合の遺留分の考え方について詳しくは、養子の遺留分について解説した記事もあわせてご参照ください。

項目 内縁の配偶者 認知された子ども
法定相続人にあたるか あたらない あたる(嫡出子と同順位)
法定相続分 なし 嫡出子と同じ割合
遺留分 原則として認められない 嫡出子と同じ割合で認められる
遺贈・生前贈与を受けた場合 他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける対象になり得る 自らも遺留分侵害額請求をする・される側になり得る
財産を確保する主な方法 遺言書・死因贈与契約・生命保険等の事前準備 遺留分侵害額請求(相続開始・侵害を知った時から1年等の期間制限あり)

ご自身やご家族の状況が遺留分の対象になるかご不安な方は、遺留分侵害額請求サポートページもあわせてご確認ください。

内縁のパートナーに財産を残したい場合の対策

内縁のパートナーには法定相続分も遺留分もないため、何も準備をしていなければ、パートナーが亡くなった際に財産を一切受け取れない可能性があります。
生前から準備できる主な方法は、次のとおりです。

遺言書を作成する

最も基本的な方法は、内縁のパートナーに財産を渡す旨を記載した遺言書を作成することです。
ただし、他に法定相続人(子・親・兄弟姉妹等)がいる場合、内縁のパートナーへの遺贈が、その法定相続人の遺留分を侵害しないかをあらかじめ検討しておくことが望ましいといえます。
遺留分を侵害する内容の遺言であっても直ちに無効になるわけではありませんが、後日、法定相続人から遺留分侵害額請求を受け、内縁のパートナーが金銭の支払いを求められる事態が生じ得るためです。

死因贈与契約・生命保険の活用

遺言書のほかにも、生前に「死亡したら財産を贈与する」という死因贈与契約を結んでおく方法や、内縁のパートナーを受取人とする生命保険に加入しておく方法があります。
生命保険金は、受取人固有の財産として扱われるため、原則として遺産分割の対象にはなりません。
もっとも、保険金の額や遺産全体に占める割合によっては、他の相続人との公平の観点から特別受益に準じて扱われる可能性がある点には注意が必要です。

内縁の夫婦・認知に関するご相談は弁護士へ

内縁の夫婦の相続、認知された子どもの遺留分は、いずれも家族関係の実情を丁寧に確認しながら法律関係を整理する必要がある分野です。
遺言書の内容や生前贈与の経緯によっては、遺留分をめぐって相続人間の主張が対立し、感情的な対立に発展することも少なくありません。
弁護士法人キャストグローバル越谷レイクタウン支店では、遺留分侵害額請求を含む相続問題について豊富な解決実績を持つ弁護士が、状況を丁寧にお伺いした上で、取り得る対応の可能性を一緒に検討いたします。
内縁関係のパートナーへの財産の残し方、認知された子どもの遺留分の主張の仕方など、具体的な事情に応じたご相談を承っております。

よくある質問

内縁の妻・夫でも遺留分を認めてもらう方法はありますか?

内縁関係のままでは、婚姻届を提出していない以上、法律上の配偶者としての遺留分は認められません。
財産を希望どおりに残したい場合は、遺言書の作成や死因贈与契約、生命保険の受取人指定など、生前の対策を組み合わせておくことが重要です。
パートナーの子と養子縁組をするなど、家族関係そのものを見直す方法が選択肢になる場合もあります。

認知されていない子どもは遺留分を主張できますか?

法律上の親子関係が生じていない以上、認知されていない子どもは法定相続人にあたらず、遺留分も主張できません。
生前に認知の手続きがされていなかった場合でも、被相続人の死亡後3年以内であれば、認知を求める訴え(死後認知)を提起できる場合があります。
死後認知が認められれば、出生時にさかのぼって法律上の親子関係が生じ、遺留分を含む相続人としての権利を主張できるようになります。

内縁の夫婦の連れ子や、養子縁組をしていない子どもに相続権はありますか?

内縁のパートナーの連れ子は、被相続人と法律上の親子関係にない限り、相続権も遺留分もありません。
連れ子に相続権を持たせたい場合は、被相続人との間で養子縁組の手続きを行う必要があります。
養子縁組が成立すれば、養子は嫡出子と同じ立場で相続人となり、遺留分も認められます。

内縁のパートナーは「特別縁故者」として財産を受け取れますか?

被相続人に法定相続人が一人もいない場合に限り、特別縁故者として家庭裁判所に財産分与を申し立てられる可能性があります。
内縁の配偶者は、生計を同じくしていた者として特別縁故者と認められやすい立場にあります。
ただし、これはあくまで法定相続人が存在しない場合の例外的な制度であり、法定相続人がいる場合には利用できません。
そのため、遺言書等の生前対策を優先して検討することをおすすめします。

内縁の夫婦の相続、認知された子どもの遺留分でお悩みの方へ

弁護士法人キャストグローバル 越谷レイクタウン支店が、状況に応じた対応の可能性を一緒に検討いたします。
まずはお気軽にご相談ください。

お電話でのお問い合わせ:0120-130-446(受付時間 8:00〜22:00(土日祝日含む)

遺留分侵害額請求サポートページはこちら

弁護士の的場崇樹(まとば たかき)
遺産分割・遺言作成・遺言執行・遺留分など相続問題はお任せください!

初回無料相談実施中

通話
無料

お気軽にお電話ください

0120-130-446

【受付時間】8:00〜22:00(土日祝日含む)