相続人がいない人の相続はどうなるのか?
身近に頼れる親族がいない状態で亡くなった場合、その方の財産はどのように扱われるのでしょうか。
「相続人がいない」というケースは、独居の高齢者の増加とともに、決して珍しいものではなくなっています。
本記事では、相続人がいない場合に開始される相続財産の清算手続きの流れや、内縁の配偶者や献身的に介護した方などが財産を受け取れる可能性がある特別縁故者制度、そして生前にできる備えについて、弁護士法人キャストグローバル 越谷レイクタウン支店が解説いたします。
【監修】的場崇樹弁護士(弁護士法人キャストグローバル 越谷レイクタウン支店)
相続問題、なかでも相続人不存在・遺言書作成に関するご相談で豊富な解決実績を持つ弁護士です。
相続人がいない「相続人不存在」とはどのような状態か
民法上の相続人(配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹など)が誰もいない場合や、相続人となるべき方全員が相続放棄をした結果、相続人が一人もいなくなった場合、その相続は「相続人不存在」の状態になります。
この場合、亡くなった方(被相続人)の財産は、法律上いったん「相続財産法人」という扱いになります。
独居の高齢者の方や、身寄りのない方が亡くなった場合、この手続きが必要になるケースが増えています。
相続財産清算人の選任と手続きの流れ(令和5年4月民法改正)
相続財産清算人とは
相続人がいない状態の相続財産を管理し、債務の清算や財産の整理を行う役割を担うのが「相続財産清算人」です。
相続債権者や特別縁故者になり得る方などの利害関係人、または検察官の申立てにより、家庭裁判所がこれを選任します。
なお、令和5年4月1日に施行された改正民法により、従来「相続財産管理人」と呼ばれていたこの役職は「相続財産清算人」へと名称が変更されました(民法952条1項)。
あわせて、以前は選任の公告・債権者等への公告・相続人捜索の公告を順番に行っていたところ、改正後は公告を並行して行う形に整理され、手続き全体の期間が短縮されています。
手続きの流れ
| 段階 | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| ①選任の申立て | 利害関係人または検察官が、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てます。 | - |
| ②選任・相続人捜索の公告 | 家庭裁判所が相続財産清算人を選任し、相続人がいれば権利を主張するよう公告します。 | 6か月以上 |
| ③債権者・受遺者への公告 | 相続債権者や受遺者に対し、請求の申出を行うよう公告します(②と並行して実施)。 | 2か月以上 |
| ④相続人不存在の確定 | ②の期間内に相続人が現れなければ、相続人の不存在が確定します。 | - |
| ⑤特別縁故者の申立て | 特別縁故者に該当し得る方が、家庭裁判所に財産分与を申し立てます。 | ②満了後3か月以内 |
| ⑥財産の帰属先確定 | 特別縁故者への分与、または国庫への帰属が確定します。 | - |
特別縁故者に対する財産分与という制度
内縁の配偶者、事実上の養子として生活を共にしていた方、献身的に介護をしていた方などは、法律上の相続人ではなくても「特別縁故者」として、家庭裁判所に財産の分与を申し立てることができる場合があります(民法958条の2)。
特別縁故者に該当するかどうかは、被相続人との関係の実質的な密接さなどをふまえて、家庭裁判所が個別に判断します。
申立ては、相続人捜索の公告期間が満了してから3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行う必要があります。
この期間を過ぎると、原則として申立てをすることができなくなりますので、心当たりのある方は早めのご準備が重要です。
要点まとめ
- 令和5年4月の民法改正により「相続財産管理人」は「相続財産清算人」へ名称が変わりました。
- 内縁の配偶者や献身的に介護した方などは、特別縁故者として財産分与を受けられる可能性があります。
- 特別縁故者に該当し得る方の申立てには、公告期間満了後3か月以内という期限があります。
特別縁故者としての申立てや遺産分割のご相談は、期限の確認から丁寧にサポートいたします。
清算後に残った財産の行方 ― 国庫への帰属
相続財産清算人による債務の清算や、特別縁故者への財産分与の手続きを経てもなお財産が残った場合、その財産は国庫に帰属することになります(民法959条)。
つまり、生前に何の備えもしていないと、築き上げてきた財産が、ご本人の意思とは関わりなく国のものになってしまう可能性があるということです。
特にお世話になった方やご縁のあった団体に財産を残したいとお考えの場合は、生前の備えが欠かせません。
身寄りのない方・独居の高齢者の方が今からできる生前対策
相続人がいない、あるいは疎遠であるという方こそ、ご自身の意思を反映させるための生前対策を検討する意義が大きいといえます。
代表的な方法が遺言書の作成です。
遺言書を残しておくことで、お世話になった方や信頼できる団体に財産を渡したいというご意向を、法的に有効な形で実現できる可能性が広がります。
遺言書の種類や作成方法については、遺言作成に備えて覚えておきたい種類・作成方法の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
また、遺言書に加えて、判断能力が低下した場合に備える任意後見契約や、死後の事務手続きを託す死後事務委任契約などを組み合わせることで、より安心できる備えとなる場合があります。
弁護士に相談するメリット
相続財産清算人の選任申立てや、特別縁故者としての財産分与の申立ては、必要書類の収集や家庭裁判所とのやり取りなど、専門的な判断を要する場面が少なくありません。
弁護士に相談することで、ご自身の状況に応じた手続きの見通しを立てやすくなります。
また、生前対策として遺言書を作成する際も、法的に有効な形式を整え、将来の紛争の可能性をできるだけ減らせるよう助言を受けられる点は大きな安心材料となります。
弁護士法人キャストグローバル 越谷レイクタウン支店では、相続問題の解決実績を持つ弁護士が、それぞれのご事情に応じた対応の可能性を一緒に検討いたします。
よくあるご質問
相続財産清算人は誰でも申立てができますか。
相続財産清算人の選任は、相続債権者や特別縁故者になり得る方などの利害関係人、または検察官が家庭裁判所に申し立てることができます。
一般的な第三者が単独で申し立てることは想定されていませんので、ご自身が申立てをできる立場にあるかどうか、まずはご確認いただくことをおすすめいたします。
内縁の配偶者は当然に財産を受け取れますか。
内縁の配偶者であるという事実だけで、当然に財産を受け取れるわけではありません。
家庭裁判所が、被相続人との関係の実質的な密接さなどの事情を総合的に判断したうえで、特別縁故者に該当するかどうか、また分与するかどうかを決定します。
該当する可能性がある場合は、申立ての期限にご注意のうえ、早めにご準備いただくことが重要です。
相続財産清算人の選任手続きにはどのくらいの期間がかかりますか。
相続人捜索の公告期間だけでも6か月以上を要し、そのうえで特別縁故者の申立て期間などを経るため、手続き全体としては半年から1年程度、あるいはそれ以上の期間を要することが一般的です。
財産の内容や利害関係人の状況によって、期間は個別に異なります。
生前に遺言書を作成しておけば、この手続きは不要になりますか。
有効な遺言書があり、遺産を受け取る方(受遺者)が明確に指定されていれば、相続人不存在の手続きを経ずに、遺言の内容に従って財産を渡せる可能性が高まります。
身寄りのない方や、財産を渡したい相手が法定相続人でない方にとって、遺言書の作成は特に重要な備えとなります。
相続人がいない場合の手続きや生前対策でお悩みの方へ
弁護士法人キャストグローバル 越谷レイクタウン支店が、状況に応じた対応の可能性を一緒に検討いたします。
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