知っておきたいフォークリフト作業の「法的ルール」
フォークリフトは、数トンの荷物を運びながら走行する「動く重機」です。
その特性(前方が見えにくい、小回りが効きすぎる、重心が高い)ゆえに、一歩間違えれば命に関わる事故に直結します。
国(労働安全衛生規則)は、会社に対して非常に厳しい「事故防止義務」を課しています。
もし事故が起きた際、これらのルールが守られていなければ、会社は重大な法的責任を問われることになります。

目次
【重要】義務を負うのは「会社(事業者)」です
フォークリフトの安全確保は、運転者個人の注意義務だけではありません。
むしろ、安全に作業させるための環境を整える「会社」に一義的な義務があります。
以下、会社が守るべき「6つの法的義務」をビジュアルで解説します。
「転倒・転落」を防ぐ義務(地盤とスピードの管理)
フォークリフトは重心が高く、軟弱な地盤やスピードの出し過ぎで簡単に転倒します。
🚧 会社がすべきこと
- ✅ 走行ルートの整備:路肩の崩壊防止、地盤の補強
- ✅ 作業計画の作成:地形や荷の種類に応じた「安全な進め方」を定める
- ✅ 制限速度の設定:現場の状況に合わせた速度制限の徹底
「接触」を防ぐ義務(視界不良への対策)
フォークリフトは荷物を高く積むと前方が見えません。 「見えないまま走行して人をはねる」事故は後を絶ちません。
👀 会社がすべきこと
● 原則、立入禁止:作業中のフォークリフト周辺に人を近づけない
● 誘導者の配置:やむを得ず人が近づく場合は、専用の合図を送る誘導者を置く
● ライトの点灯:薄暗い倉庫内でも視認性を保つ前照灯・後照灯の装備
「荷の落下」を防ぐ義務(運転者を守る盾)
積載バランスが悪いと荷崩れが起き、最悪の場合、運転席に荷が落ちてきます。
📦 会社がすべきこと
● 安全設備の装着:荷が落ちてきても運転者を守る「ヘッドガード」等の義務化
● 適切な積載指示:偏荷重(片寄り)を防ぎ、強度の高いパレットを使用させる
「不意の降下」を防ぐ義務(点検中の安全確保)
フォークの下に潜り込んで点検中に、油圧故障でフォークが落ちてくる事故を防ぎます。
🔧 会社がすべきこと
● 立入の厳禁:フォークの下に人を入れない
● 安全支柱の使用:修理等で潜る場合は、物理的にフォークを固定する支柱を使わせる
「用途外使用・不正搭乗」の禁止(墜落事故の防止)
「パレットに人を乗せて高く上げる」といった行為は、法律で厳格に禁じられています。
🚫 やってはいけない「代用」
● 人を乗せて昇降しない:高所作業車代わりに使うのはNG
● 吊り上げない:クレーン代わりに使うのも原則禁止
● 指定席以外に乗せない:フォークの横などに乗せるのは論外
「逸走(走り出し)」を防ぐ義務(駐車時の徹底)
運転者が離れた隙に勝手に動き出し、周りの人を巻き込む事故が起きています。
🅿️ 会社が徹底すべき「降車時ルール」
● フォークを地面に下ろす:最低降下位置まで下げる
● エンジン停止・ブレーキ:確実にブレーキをかけ、勝手に動かないようにする
【まとめ】会社がルールを守っていない場合、どうなるか
労災保険による給付は、あくまで最低限度の補償に過ぎません。
もし会社が上記のルールを一つでも怠り、その結果事故が起きたのであれば、それは会社の「安全配慮義務違反(債務不履行)」となります。
企業に求められる安全配慮義務のより詳しい内容や、実際の判例における責任の問われ方について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
・【弁護士が解説】安全配慮義務とは?企業に求められる責任と労災保険との関係をわかりやすく解説
・労災事故における企業の責任を問う:安全配慮義務違反の要件と解決事例・判例解説
この場合、あなたは会社に対して、労災保険では支払われない「慰謝料」などの多額の賠償を請求できる可能性があります。
労災保険からは慰謝料が出ない理由や、会社へ十分な損害賠償請求を行うための具体的な方法については、こちらの記事で解説しています。
・ご注意!慰謝料は、労災保険からはもらえません!慰謝料算定方法について
・労災保険だけでは不十分?安全配慮義務違反で会社に損害賠償請求をする方法
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