交通事故の被害者になってしまった時に必ず確認しておきべきこと

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交通事故被害者

 交通事故の被害を受けた場合は、事故発生直後の初期対応が最も大切であり、交通事故発生から1ヶ月以内の対応で、結果がほぼ決まると言っても過言ではないと思います。私自身が多数の交通事故被害者案件を扱う中で、私を含め多数の弁護士が交通事故の法律相談は無料としているにも拘らず、「なぜ、もう少し早く連絡をくれなかったのですか・・・。」と何人もの依頼者の方に申し上げてきました。

 また、私が交通事故案件を多数扱っていることを既に知っている友人や依頼者の方から、交通事故被害に遭った時、何をすればよいですか?と質問を受けることも多々あります。ちなみに、そのような質問を受けた場合、その場で私にすぐに電話をくださいとお伝えしております。アメリカでは、病院に弁護士が張り付いていることもあるようです。

そこで、今回は、交通事故発生直後に交通事故の被害者が、何をすべきかについてまとめてみたいと思います。

 

交通事故発生直後に被害者がすべきこと

 この記事を読まれている交通事故被害者の中には、正に事故発生直後の方がおられるかもしれないので、先に結論を申し上げます。

 まずは、今すぐ携帯電話で事故発生直後の状況を動画で撮影をすることです。

【事故発生時にやっておくべき事】

  1. 事故現場の動画撮影(写真ではなく)
  2. 相手方・目撃者・警察官などの全ての会話の録音
  3. 目撃者との連絡先の交換

 事故発生直後から、すぐに動画撮影を開始し、事故現場の撮影、相手方との会話、警察との会話全てをそのまま残すのが一番よいです。この際大事なのは、「写真」撮影ではなく、「動画」撮影ということです。

 また、目撃者がいる場合、目撃者との会話の録音も必要でしょうし、目撃者の連絡先、名前を聞き、ご自分の連絡先も渡すことです。

このことは、とても大事なのですが、私に交通事故被害相談をしてきた方の中で、この作業をやった方は、今までに1人くらいだと思います。

 上記動画撮影作業を行ったら、この記事をゆっくり読んでください。

 そして、すぐに無料法律相談をしてくれる弁護士にその場で電話をすることです。出来れば、交通事故に特化した法律事務所が良いと思います。

交通事故で重要な2つの問題―過失割合と因果関係―

交通事故で問題となることが多いのは、

①過失割合

②事故と損害

との因果関係だと私は思っています。

過失割合とは、交通事故の責任が、交通事故当事者のうち、どちらにどのような割合で責任があるかという問題です。また、因果関係とは、事故当事者に発生した損害が、当該交通事故により発生した損害であるか、又は、当該交通事故の損害と評価すべきかという問題です。

この2つの問題は、後に争いとなることが多いです。なぜなら、これらの問題に関する証拠は、事故発生後に消えていってしまうことが多いからです。逆に言えば、これらの証拠をしっかり残しておけば、後に問題が起きても加害者、相手方保険会社ともしっかり戦えますし、そもそも紛争を発生させないことにもつながります。

ですので、この記事を読んで、しっかりこの2つの問題についての対策をしてください。

2つの問題の具体的事例

過失割合、因果関係の問題について、具体的なイメージをもって頂くため、2つの問題の具体例を挙げたいと思います。この2つの具体例は、いずれも私が受任した、実際の事件の例です。

 

事例①:過失割合が問題になった事例

被害者である運転手が、ハザードランプをしっかりと付け、車両を停止したところ、停止直後に、後方から走行してきた車両に衝突されるという事故がありました。衝突した加害者は、事故直後は、「よそ見をしていたため、停止していることに気付かなかった、私が全て悪い」と事故直後に述べていたにも拘らず、その後、保険会社が出てくると、よそ見をしていたという事実の存否があいまいになり、被害者に過失割合が4割があると主張するに至りました。

事例②:因果関係が問題となった事例

被害者は、加害車両に衝突され、足を痛めたにも拘らず、病院に行くのが面倒であったことから、自宅で痛みを我慢して自ら湿布薬を貼る等して、自宅療養をしていました。ところが、痛みは一向に消える気配がなく、寧ろ痛みがひどくなってきたことから、我慢しきれなくなり、事故から1ヶ月以上経過してから病院で診断書を作成してもらったところ、相手方保険会社から、事故との因果関係がないとして、治療費の支払いを拒否されました。

   

2点の重要問題を解決するためにすべきこと

 上記2つの事例は、2点のことをしておけば、簡単に回避できたことです。

【必ずすべき事】

①事故状況の記録

②損害状況の記録

 1点目は、既に申し上げたように、動画撮影等による事故状況や、相手方との会話の記録です。加害者との会話を記録しておけば、相手から過失を主張される可能性は大幅に下がったはずです。

 2点目は、損害状況の客観的保全です。足を負傷した、足に痛みがあるという証拠は、病院に行くことで、簡単に保全できたはずです。

 つまり、2点の問題を解決するためには、①事故状況の記録②損害状況の記録を、必ず事故直後に行うことが大切だということです。これらのことをしておかないと、たとえ弁護士に相談をして、裁判を提起したとしても、なかなか結論を覆せなくなると思ってください。

必ずしておかなければならないこと

多くの方が当然分かっているとは思いますが、上記2つのことをやる大前提として、被害者が必ずやらなければならないことを念のため申し上げておきます。

まず、交通事故が発生した場合は、必ず警察に連絡をして事故を報告しましょう。加害者側から、その場で示談を持ちかけられ、警察には連絡をしないでくれと言われても絶対に応じてはいけません。警察にその場で連絡をしないと、公的に交通事故として扱ってもらえなくなる可能性があるばかりか、保険の不適用となる可能性もあります。

また、加害者から加害者側の任意保険会社を聞くとともに、自分の保険会社も確認し、必ず両方の保険会社に電話をしてください。被害者の過失割合が10割の場合でも必ず電話をして、事故の報告をしてください。

事故状況を残す方法

動画の撮影、会話の録音

この点は既に述べましたが、交通事故が発生したら、まず、携帯電話を起動させ、動画の撮影を開始しましょう。スマートフォンには、カメラ機能、録音機能のいずれもついていることがほとんどです。加害者側の中には、態度の悪い人もいます。その態度の悪さを残しておくことも大切です。

動画撮影の際に注意しなければならないのは、動画を撮影している場所が分かるようにしておくことです。周りの景色等も撮影し、事故現場で撮影していることが分かるようにしておくとよいでしょう。

また、被害者側の車両の傷、加害者車両の傷を撮影しましょう。

さらに、加害者に出していた速度、こちら側の車両を見落としていたか否か等、なぜ、交通事故が発生してしまったのかを問いかけてみてください。

人身事故への切り替え

警察は、交通事故の取り扱いとして、物損事故、人身事故の区分けをします。被害者が怪我をした場合であっても、物損事故として扱われる場合もあります。逆に言えば、警察に物損事故として取り扱われていても、実際に怪我をしているのであれば、相手方保険会社に治療費や慰謝料を請求ができます。警察の取り扱いでの物損事故、人身事故の区分けと民事上の物損事故、人身事故の区分けを誤解されている方が多いので注意してください。原則的には、警察が物損事故、人身事故として取り扱うのかは、あまり気にしなくてよいです。警察に人身事故にするから診断書を提出してくれと言われても気が乗らないようであれば、人身事故にしなくてもよいと思ってください。

もっとも、例外的に積極的に人身事故にすべき場合もあります。

それは、過失割合に争いが起こりそうな場合です。この場合は、警察に診断書を提出して、人身事故にしてもらいましょう。

その理由は、警察が作成する書類にあります。

物損事故として取り扱われる場合、警察は、物件事故報告書という極めて簡易な書類しか作成しません。

一方、人身事故の場合、実況見分調書に「現場見取図」という書類を添付しなければならないため、物損事故報告書よりも詳しい書類が作成されます。

後に裁判となった場合は、これらの警察が作成した書類がかなり重視されます(いい加減、杜撰な書類もたくさんありますが・・・。)。

その場合には、物件事故報告書よりもより詳細な現場見取図があると、過失割合の主張がしやすくなる場合があります。

リサーチ会社の利用

事故直後に動画の保存もなく、警察が残した資料も杜撰な場合(警察が作成する書類には、かなりいい加減なものもあります。)、事故直後にリサーチ会社を利用して、事故の再現レポートを作成する方法があります。

弁護士に依頼して、リサーチ会社を利用した証拠作りをするのも一つの手段ですが、リサーチ会社を利用して、証拠を作成する被害者側の弁護士は、弊職以外であまり見かけません。

損害状況の保全

被害者が請求できる損害とは

交通事故により発生した損害も、事故直後にその証拠を残すことがとても大切です。事故発生から時間が経過してしまうと、交通事故以外が原因で発生した損害ではないかと疑われる余地が生じてしまいます。

例えば、事故から2週間も経過して首が痛くなったと申告しても、事故から2週間の間に、スポーツ等をしてその際に痛めたのではないかという可能性が生じていしまいます。

そのような余地がないことを示すべく、事故発生直後に必ず損害の証拠を残す必要があります。

もっとも、損害として加害者に何を請求できるのかが分からないと証拠を残すことも困難です。

では、どのような損害が加害者に請求できるのでしょうか。

まず、交通事故による損害は、車両の修理費、代車代金等の物上損害と治療費、通院にかかる交通費等の人身損害の大きく2つの損害に分けられます。基本的には、車両に生じた損害、車両の積荷、身に着けていた物の損害以外が、人身損害であると理解しておけばよいでしょう。

物上損害(いわゆる物損)

被害者が請求できる物上損害とは

物上損害には、

①車両の修理費

②代車費用

③買替費用

④携行品

⑤車両の積荷

などがあります。

物上損害について事故直後にやっておくべきこと

このうち、事故直後にやっておかなければならないことは、重複しますが、損害の動画、写真を残すことです。この点は、事故状況の記録と共に事故直後にやっておくのがベストです。

特に見落としがちなのが、自分が事故発生の際に身に着けていた物、すなわち携行品です。

携帯電話、時計、宝石などの高級品は、そもそも事故現場に存在していたのか、当該事故により損傷したのかという点で紛争になることがよくあります。また、積荷なども崩れている状況を撮影しておきましょう。損傷を受けた物品について、修理見積をすぐにとるということも証拠作成の一つの手段です。

修理か買替か

修理費用は、その全額の請求が出来ない場合があります。

修理費用は、車両の時価額の範囲内でしか認められず、修理費用が車両時価額を上回る場合、その車両は「全損」車両ということになり、時価額の範囲内での請求しかできません。

この際に車両の時価額が争いとなることがあるため、時価額決定の要素となる車両走行距離も写真などで保存しておきましょう。特に、車両に特別なオプションを付けている場合には、車両内部の撮影もひつようとなります。

また、全損として認定された場合には、買替か修理かをなるべく早く決め、多額の代車費用が発生しないようにするとよいです。保険会社は、長くても1ヶ月ほどの代車費用しか支払わない傾向にあります。

人身損害

被害者が請求できる人身損害とは

人身損害には、治療費(施術費)、通院交通費、通院慰謝料、休業損害などがあります。

これらの損害についての詳細は、別の機会に譲りますが、これらの項目が軽微な事故の場合の代表的な損害です。

通院交通費は、通院に要した交通費です。

通院慰謝料は、通院日数に応じた精神的苦痛を慰謝料として請求するものです。

休業損害は、負傷や通院により、休業の必要性がある場合に、休業日数に応じた損害を請求するものです。

病院には1週間以内に行くこと

事故による痛みがあれば、1週間以内を目安に、出来るだけ早い時期に病院(整骨院ではありません。)に行きましょう。痛みを我慢して、事故から長期間を経過した後に通院をしても、事故による負傷ではないと判断される可能性があります。

事故による衝撃は、通常の生活ではありえない衝撃です。事故によりどのような負傷をしているかは、自分自身では認識しきれていないことが多々あります。打撲程度だと思っていた被害者が、実は骨折をしていたというのは、珍しい話ではありません。必ず、病院に行き、検査をして頂いてください。

保険会社が対応してくれなかったから病院に行かなかった、という言い訳は一切通用しないと思ってください。

領収証は必ず残す

事故でメガネが割れたので眼鏡を購入した、通院にタクシーを使った、駐車場代金を支払ったが、これらの領収書を残していないと言われる被害者がいます。事故が原因で支払いが生じたものについては、例外なく見積書、領収証を残してください。交通事故は、証拠が全てだと思ってください。

弁護士への依頼

弁護士への相談時期

弁護士への相談は事故直後に必ずしてください。

「治療が終了したら来てください」、「後遺障害の認定を受けたら来てください」ということは私は言いません。

なぜなら、保険会社と戦える材料は日が経つごとに消えていってしまうからです。

ここでは、最低限、事故直後にやっておくべきことを書きました。

正直申し上げて、やっておくべきことは、記載しきれていません。事故内容、相手方保険会社の対応によって残すべきものは変わります。

私が、初回に相談を受ける際、30分以上話をして、被害者の方に証拠を残すよう種々の指示をすることも珍しいことではありません。

最近の保険会社はとてもシビアです。証拠が残っているか否かで一律の対応をされますし、証拠を残すよう指示を出してくれるようなこともしてくれません。

被害者だからと言って、敵である保険会社の指示を待っていても証拠は消えていくだけです。

弁護士費用

相談を早くしてくださいというと、費用がかかってしまうのではないか・・・と心配される方も多いと思いますが、その心配はまずないと考えてよいと思います。

現在では、交通事故に特化して業務を行う弁護士事務所も多数あり、そのほとんどが初回相談費用が無料です。

また、現在では、被害者自身の保険に弁護士特約がついていることが多く、この特約により、保険会社が、被害者に代わって法律相談費用等の弁護士報酬を支払ってくれます。この特約がついていると言えば、どこの法律事務所も親切に相談に乗ってくれることと思います(ついていなくても、親切にして欲しいですが・・・。)

迷ったら、とりあえず弁護士に電話相談をしてください。

まとめ

①交通事故では、過失割合と因果関係が重要問題となりやすい。

②事故発生直後から、動画撮影、写真撮影等により事故状況を客観的に保全する。

③事故発生直後に客観的な損害資料を残す。病院には1週間以内に行く。

④交通事故に明るい弁護士に早期に相談する。

これらを実践して、正当な賠償額を勝ち取ってください。

 

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